[天気の子]凪くんとアヤネちゃんが社会人になっても新宿あたりでお酒飲んでたらいいよね(という妄想)。

みなさん、『天気の子』が好きですか?ちなみにぼくは『天気の子』が好きです。何が好きって、やっぱり、「陽菜さんに帆高がいてよかった」ということに尽きます。自分を勘定に入れない女の子を空まで追いかけて行って手を差し伸べる男の子がいたことと、陽菜さんが、その男の子を見た瞬間に体が勝手に動いて、駆け出して手を伸ばしてしまえた、そういうことができたということを本当に祝福したい。歌舞伎町では帆高が無理やり手を取って走りますが、空の上では帆高は手を伸ばし、陽菜さんはそうするしかないというように思い跳んで手を掴むのです。行動が先、思考が後であるというのは、落ちながら今更にも「でも、私が戻ったら、また天気が!」と叫ぶことによって言明されている。とにかく、彼女が生きることを選べてよかったし、その時に手をつないで落ちてくれる男の子がいてよかった。「自分のために願って、陽菜」と言われて、笑顔でうなずくことができてよかった。『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』しか見ていなくて、新海さんのこと好きじゃなかったんですけど、最近『雲のむこう、約束の場所』と『星を追う子ども』を見まして、ああこの人は、(まあ秒速もそうなんですけど)どこまでも「生きよう」という話ばかり作っているんだなあと思えたのでわりと好きになった自分がいたりします。一応、ファーストインプレッションの感想置いときます。

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というわけで本題ですが、好きなので、既になんか5回も見ちゃったんですけど、そのくらい見るとなんとなくいろんなところが見えてきてまた楽しくなってきます。先日人と居酒屋で酒飲みながら感想言ってて、なんとなく凪くんと、その元カノのアヤネちゃん、今カノのカナちゃんのことを妄想するのが楽しかったので、標題の話をします。ほとんど根拠のない妄想です。

 

凪くん、ありていに言えば大人じゃないですか。人間関係における能力がすごく高くて、気が利くし、度胸もある。それってもちろん、天性のものであって、元々そういう子だったというのはあると思います。人間一朝一夕でああはならないはずなので。ただ、たぶんですけど、あの大人さはきっと母親が死んで、ねーちゃんはバイトばっかりしている中で、俺は子どもだけど子どもなりにねーちゃんの役に立たなくちゃならねえ、みたいな思いがあるはずなんですよね。他の同級生が子どもをぬくぬくやれる中で、子どもじゃいられないんだけど子どもでしかいられない子特有の、達観みたいなものがきっとある。フットサルにしても恋愛にしても、たぶん、ねーちゃんに、「俺はちゃんと楽しくやってるぜ」という風に見せたい思いを持ちつつ、屈託を見せずに楽しんでる側面がきっとある。

今カノのカナちゃんってCVが花澤香菜なのもあってすごく花澤香菜力が高い女の子で、ゆるふわなパーマがかわいくって、おしとやかで、すごく女の子らしい女の子じゃないですか。基本的に女の子のほうが成熟が早い中で、ああいう子が憧れるのって大人びた子なんですよ。だから凪くんと付き合ってるんだと思うんですけど、たぶんそれは恋に恋している状態に近いというか、「大人っぽい」から凪くんが好きなんだと思うんですよね。大人っぽい男の子に、きちんと愛される私を作っている。かわいすぎる。もちろん凪くんのことは精一杯、全身全霊で好きだと思うんですよ。

でも、児童相談所で入れ替わりをやるのは元カノのアヤネちゃんじゃないですか。あれがねーすごくよくて。アヤネちゃんは受け身な女の子の力全開、というよりもどっちかというと、気が強くて、ガツガツモノを言って、というような子だと思うんですよね。「心臓がすごくドキドキしているの、凪くん触って確かめてみて」に対して、「あーらほんとだ」とか言ってカナちゃんの胸触ってしまうの、すごくかわいい。戦闘力高め。もちろんカナちゃんもそんな大胆なことを言っちゃうので戦闘力高い女の子なんですけど、ベクトルがちがうんですよ。

カナちゃんには入れ替わりを頼めないけど、アヤネだったら、という思いが凪くんにはあった。100%妄想ですけど、アヤネちゃんは、お母さんが亡くなる前の凪くんを見てたんじゃないかな、とか思っちゃうわけですよ。もちろん前から大人っぽくてカッコいい凪くんだったのだけれど、前はもっと心から笑っていたのにな、とか、私のことをきちんと見ていたのにな、とか、今はどこか遠くを見ているばっかりだ、とか思っていたりする。笑顔から真剣な、寂しそうな顔までの距離がすごく短くなってしまった気がする、とか、思っていて、でも、全然私には話してくれない。大丈夫?って聞いても、いつもの完璧にさわやかな笑顔で「大丈夫だよ、アヤネ、心配してくれてありがとう」とか返されてしまって、疎外感ばかり募ってしまう、みたいな苛立ちがあったし、それで、「私のほうを見てよ!」とか「私にもっと頼ってよ!」とか思って、ついつい踏み込んだり、挑発したりして、言いたくもない言葉をぶつけてしまって傷つけて、ということが一度あったりしたらいいなあとか思うんですよ。

だって、児相で入れ替わりですよ。カナちゃんは面会を終えて帰ればいいけど、アヤネちゃんは凪くんの代わりとして児相に残る。残るからにはいつかバレて大人たちに相対しなきゃいけないわけです。それに、小学生がウイッグってそんな簡単に買えるものじゃなくない、と思うし、自分が着てる服を男の子が着て、男の子が着てる服を自分が着るって、どれだけ気を許せたらそうなるの、って思うし。凪くんがそれを頼めるのがアヤネしかいなかったんだろうな、と思うと、じゃあこの二人の間にどんな気の置けない関係があるの、とか思ってしまう。

アヤネちゃんが、怒ってるのがいいですよね。怒ってるんだけどあんなヤバイことを頼まれるし、躊躇せずやってあげてる。前述のような妄想を踏まえると、あの時自分を頼ってくれなかった凪くんが、こんな風に、ヤバイことを私に頼んでくれた、やっと凪くんの人生を助けてあげられる、みたいな思いもあったんじゃないかなとか。もちろん序盤で凪くんとラブラブしているアヤネちゃんが描かれているわけなので、こんなの完全に妄想としか言いようがないんですけど、でもやっぱりあの二人にはけっこう深いところでのつながりがあって、凪くんの中でも、アヤネにだったら、みたいなことがあるんじゃないかと思えてならないんですよ。だからね、カナちゃんとは中学に上がるときくらいに別れて、カナちゃんも別の男の子と付き合って、お互いもう人生が交わらないとかそういうことおあると思うんですけど、アヤネちゃんとの関係はずっと続いたらいいな、とか思うんですよ。それこそ時々カフェとかに行って、「また新しい女?」とか毒づかれて、その、他のどの女の子ともできない気の置けない在り方に楽さを感じる凪くんとかいたらいいし、お酒飲めるようになったらたまにお酒とか飲んで、本音でズケズケ言い合えるようなかなり稀有な関係が続いてたりしたらいいなあとか思うんですよね。あとは、予約がなかなか取れない店を予約したのに彼女が体調不良とかで来れない時に、「キャンセル料もかかるし、アヤネ、せっかくだから行かない?」とか言われて埋め合わせ要員としてご飯食べにいったりとかもあって、それで、そうやって毒づきながらも、アヤネちゃんはずっとずっと凪くんのことが好きだったりしたらほんと最悪でいいですよね。こうやって隣にい続けたらまたいつか私の番が、とか思い続けながら、他の女のところに赴く凪くんの背中を見ていてほしいし、凪くんは心の底からアヤネのことを友人として好きで信頼していて頼りにしていて、あの児相でのことをずっと恩に着てたりしたら本当によい。

いやーひどい妄想ですね。解釈がガバガバなのは自覚しておりますので、みなさんも凪くんとアヤネちゃんのもっと説得力のある物語を紡いでくれるとうれしいです。凪くんにも幸せになってほしいので。